TVT尿失禁手術後の再手術


TVT手術をしたが尿失禁がまったくなおらないとか、かえって切迫性尿失禁がつよくなったなどのケースは、少なからず存在する。2003年で1件 2004年で6件 2005年で10件の修正手術をしている。

この原因としては、TVT手術が簡単な手術だという世評が回りすぎていることによると思う。
私の師匠のハーバード大ライリー先生は、年間30件のTVT手術をする。その手術はまさに適応の患者さんだけである。決して余分に追加するようなことはない。私自身年間200余件の手術をこなしている間に、基本的な手術は80%を占める。TVTは応用編のひとつと考えている。

女性泌尿器科が盛んになってきたが、まだまだ年間10件に満たない病院が多い。やはり膣前壁手術で年間50件以上、メッシュまたはTVT手術で年間30件以上はおさえていないと、成功しない可能性がでてくると考える。

腹腔鏡下腎臓摘出や腹腔鏡下前立腺全摘などは、社会全体が難しい手術と理解して、症例をある程度こなしていないと、患者自身のコンセンサスが得られないことが多い。TVTやメッシュだって同じである。尿失禁がなおらないとか、痛いとか、歩行がつらいとか、頻尿がひどいなどのQOLの悪化なので、なかなか注目されないだけで、実際はかなり神経をつかう繊細な手術である。

患者さんのみなさんは、よく医師の話を聞き、その上で、どのような手術になるのかイメージをする。繊細な手術なので、いままでの手術成績を聞く。などの努力をこころがけていただきたい。


ホームページや本などはあくまで参考に! 説明と実績をしっかり聞くこと!!
     TVTの説明 (英語: 私の恩師のもの)   日本語説明(メーカーのもの
  




メッシュだけをかけているが、組織の剥離の仕方によりこのようにメッシュがでてくる場合がある。

子宮頚部延長症をもつのにTVTだけをかけられている
その後、頚部の落ちがつよくなり膣形成をしなおした

TVTをぬきとる必要があったもの。癒着がつよくてとることが難しいので
右のみを切断して、のこりをうまく縫い付けた

子宮脱になりかかっていることにわからずに
TVT手術を実施した症例
TVTの切開部分がかなり大きく、もともと尿失禁があまりないが
膀胱瘤があるので、その際に一緒にかけたものと考える
術後2週間目で子宮脱になる
このような場合は、膀胱瘤の手術+靭帯固定か、直腸瘤の手術を追加すべきであろうと思われる

あらたにTVTをいれるにあたり、膀胱鏡で尿道の状態や動きを十分に観察する
その上で、古いTVTを処分して、あらためて入れなおし等をする
尿道にメッシュがでているときは、筋膜を用いる








奥井識仁 @ 泌尿器科専門医・指導医(女性泌尿器科専門医)